1.葉酸の効能は?
葉酸の効能 ご存じですか
葉酸?ああ、妊婦さんがとらないといけない栄養素ね…。
一般的にはその程度でしょうか。
厚労省は2000年に「妊娠可能なすべての女性は葉酸を十分に取るように」と呼びかけるようになりました。
欧米ではずっと以前から葉酸の効能は妊婦の常識とされています。
ちなみに英語ではFolic acidです。
海外で出産される方は覚えておいたほうがいいと思います。
葉酸は妊婦さんだけではなく、妊活中の人、妊娠を考え始めた人がとるべきとされています。
『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』で知られる産婦人科医・宋美玄さんは下記のように説明しています。
赤ちゃんの身体の臓器がほとんど出来上がる妊娠初期(~12週まで)に必要で、それも「妊娠の2カ月前」から取らなければばあまり効果がありません。妊娠に気づいたときにはだいたいすでに3~4週目なので、そこから取り始めても、赤ちゃんへの先天的異常への予防という意味では効果が薄いんですよね。(日経DUAL)
筆者も39歳で妊娠して初めて「葉酸」を知りました。それでは遅かったんですね。
妊婦さん、妊娠を考え始めた人にとっての効能
ズバリ下記の2点です。
1. DNAの形成に重要→赤ちゃんの正常な発育に役立つ
2. 神経管の先天異常になるリスクを減らす→流産や死産のリスクを減らす
葉酸はビタミンB群の水溶性ビタミンで、体の機能をつくる細胞の分化を導きます。
人としての体をつくるために「細胞分化」を繰り返す胎児には、とりわけ必要というわけです。
細胞分化は、細胞が「はたらきを持つ」ことです。
肝臓になる細胞は肝臓として、筋肉になる細胞は筋肉として「はたらく」ための機能をが必要です。
ただの細胞が機能を持って「はたらく」ようになると「細胞が肝臓の細胞に分化した」とか「筋肉の細胞に分化した」と言います。
下記は厚労省が5年おきに改訂している「日本人の食事摂取基準」の2020 年版です。これによると…。
葉酸は、狭義には、p- アミノ安息香酸にプテリン環が結合し、もう一方にグルタミン酸が結合した構造を持つ。化学名はプテロイルモノグルタミン酸(分子量は 441.40)(図 11)である。これは自然界には稀にしか存在せず、我々が摂取するのはサプリメントや葉酸の強化食品など、通常
の食品以外の食品に含まれるものに限られ、人為的に合成されたものである。以下、これを「狭義の葉酸」と呼ぶ。(厚労省「日本人の食事摂取基準」2020年版より)
自然界にほぼ存在しない葉酸があるんですね。
「人為的に合成されたもの」からしか取れないというわけです。だからサプリがあれこれ出ているんですね。
一方、食品中には異なる構造を持ったプテロイルモノグルタミン酸の誘導体が複数存在し、その大半は N5─メチルテトラヒドロ葉酸(分子量は 459.26)であり、これらはポリグルタミン酸型として存在する。これら食品中に存在する葉酸をまとめて、以下、「食事性葉酸」と呼ぶ。(厚労省「日本人の食事摂取基準」2020年版より)
食事からとれるタイプの葉酸もあるということですね。食事でとれたらいうことはないですよね。
問題は葉酸は水溶性のため、料理(熱)で分解されやすいということです。
葉酸には2種類あって、いずれも効能は「からだをつくる助けになる」ことが分かりました。
貧血持ちへの葉酸の効能
それでは葉酸は妊婦さんだけがとればいいのでしょうか。妊婦以外の人にとって、葉酸の効能はあるでしょうか。
答えは「あります」。
貧血持ちの方にも葉酸の効能があります。
貧血は鉄不足が原因のケースもありますが、ビタミンB12や葉酸の不足も原因で起こります。
一般的な貧血の症状としてはめまいや立ちくらみ、動悸、息切れ、疲れやすいなどが知られていますが、ビタミンB12や葉酸の不足による貧血の特徴は下記になります。
- ゆっくりと進行
- 疲労、脱力感
- 筋力が落ちる
- 体の不調に対して神経過敏になる
思い当たる方も多いと思います。
コンビニなどでも「きょうの鉄分葉酸ヨーグルト」「1日分の鉄&葉酸ヨーグルト」といった飲むドリンクが売られています。
以前は鉄分だけの商品が多かったアイテムですが、さらに葉酸が加わってパワーアップした感じですね。
シニア世代にとっての葉酸の効能
ズバリ下記の2点です。
2.心筋梗塞にかかるリスク減
「葉酸」はその名の通り、緑の葉に含まれるビタミンです。
体内で葉酸が足らなくなると「ホモシステイン」と呼ばれるアミノ酸が増えます。
ホモシステイン値が上がると血管が壊れやすくなり、心不全や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクが高くなることが分かっています。
注意していただきたいのは、あくまでも葉酸の効能は「リスク減」であること。